教育改革2020

どうする・どうなる!?2020年。保護者視点で分析する教育改革。調べてわかったことを中心にまとめています。

進化を続ける受験工学に終わりは来るのか

 近所の駅に武田塾新規開校のポスターが貼られていました。教室はすでに都内各地にあり、この神保町校で何校目になるでしょうか。勢いを感じます。

 


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ザッツ・受験工学

 「塾業界のライザップ」として最近メディアでも取り上げられることが多いこの武田塾。ポスターにも書いてある通り「授業をしないこと」が大きな特徴です。生徒が目指すゴールにあわせて宿題を課すとともに、学習計画策定のコツを伝授。そして、その計画が着実に遂行されるよう、徹底した進捗管理で実行を監督するのです。そう、体重コントロールのために毎度の食事を逐一写メで送らせてチェックするライザップのようにね!

 学生時代を思い出してもらうとわかると思うのですが、ある程度基本的な概念理解や知識が身につくと、集団環境で先生から教わるよりも、参考書と問題集(最近ではタブレット端末やスマホも?)を片手にひとりで勉強したほうが圧倒的なスピードで学習を進めることができます。逆に、わからない部分に自分のペースで時間をかけることもできる。

 基本的な概念理解の部分にしても、今や動画サイトを検索すればあらゆるジャンルの学習コンテンツが出てくる時代。わざわざ塾や予備校に通って教わるよりも、実行機能のサポートに特化したサービスを選択するのは、ある意味、理にかなっているとも言えるでしょう。

 入学試験の問題から傾向を分析し、対策すべき学習内容と量を塾が設定、問題集の反復や演習を通じて生徒の理解・定着が確実になされるよう品質管理を徹底する。武田塾の提供するこうした取り組みは、まさに最短かつ効率的に学力を身につけさせる受験工学の最先端と言ってもいいのかもしれません。

 

他律は自律を育むことができるのか

 2020年教育改革の新学習指導要領で目指される姿のひとつに【主体的な学び】という学習者像があります。正解がひとつに定まらない時代に、自分で設定した目的地に向かって自主的に学びを進めていく姿勢、といったところでしょうか。

 武田塾のようなライザップ的なアプローチは、最終的に主体的な学習者を育てるために、まずは他律的に学習の方法論を身につけてもらいましょうとするものです。律して、正して、行動を良き習慣にさえ変えてしまえば、その後は抵抗感なく自走することができるだろう。伝統芸能や「道」における、 "守・破・離" の「守」にあたる教育メソッド、と言い換えることもできるかもしれません。自分なりの型を見つけるためには、まずオーソドックスなやり方を身につける必要がある。これはこれで納得感はあります。

 他方、律する人の伴走がなくなったとき、人は本当に自律的に目的地にむかって走る力がついているのかという不安はぬぐえません。むしろ解放感から糸の切れた凧のようになってしまうのでは…などと余計な心配まで頭に浮かんできます(かく言うボク自身が、とても管理的な高校から大学に入った後、そうなってしまったので…)

 他律によって自律心は形成できるのか。なんだか哲学的な問いになってしまいましたが、古くて新しい問題に今また直面している、そんな風に感じられます。

 

入試のかたちがどれだけ個別化されていくのか

 大学入試改革によって、入試の多様化も進むと言われています。学校教育で主体的で個別的な学び方が中心になっていくほど、試験もそれを評価するシステムに変わらなければならないからです。現状ではまだ旧態依然とした学力観が続いており、学ぶべき総体をいかに正確に覚え、かつ、使いこなせるかという1軸での評価になっている面は否めません。しかし将来的に、本当に主体的・個別的な学びを評価するとなった場合、身につけるべき内容も人それぞれとなり、その多様さから、塾は押しつけ型のカリキュラムを組むことができなくなるでしょう。受験工学の終焉が訪れるとするならば、そのタイミングじゃないかと個人的には考えています。

 ではその代わりにやってくるのは何なのか。生徒ひとりひとりの【主体的な学び】に寄り添い、見守る、真の意味でのコーチ型学習塾ではないでしょうか。実際、これまで個別指導に近い形態を取っていた塾ほど、いち早くコーチ型を見据えた打ち出し方に変化させているように感じられるのも、こうした潮流と決して無関係ではないと思っています。

 改革によって制度は変わります。疑いようのない事実として。しかし、それがどれほど大きな変化となるのか、潮目の変わる時期はいつなのかについては、意見の分かれるところでしょう。ボク自身も一人の悩む親として、これからの動きを引き続き注視していきたいと考えています。