教育改革2020

どうする・どうなる!?2020年。保護者視点で分析する教育改革。調べてわかったことを中心にまとめています。

2020年、小学校は大忙し?

 2020年教育改革の英語教科化にともない、小学校の中学年~高学年は、現行の学習指導要領よりも年間35時間ほど授業時間が増えることが決まっています。新たな試みを導入する一方で、たしかな学力を犠牲にするわけにはいかない、そんなジレンマに苦しんでいる様子が透けて見えるようです。

 

 

 

▪ 目次

 

 

新学習指導要領の移行期間と全面実施時期

 新学習指導要領が全面実施されるのは2020年度から。そして、この春からはじまる2018年度からの2年間は移行期間となっています(下の表を参照ください)。

 新たな英語学習に段階的に切り替えるため、現在は英語授業がない3~4年生は年間15時間、現在英語授業が年間35時間の5~6年生は年間50時間と、それぞれ授業時間が+15時間となっています(ただし、小学校の授業1時間=45分)。

 

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 ただ、この移行期間中は、授業時間の増加に対応するため、現在70時間ある総合学習の時間のうち15時間までを外国語活動に振り替えてもよいという移行措置が発表されました。つまり、実質的に、授業時間の増加はありません

 問題は、新学習指導要領が全面実施される2020年度以降です。現在のところ、移行期間のような特別な措置は発表されていません。というよりも、年間35時間の純増を前提に対策が考えられています

 純増する年間35時間を均等に割りつけると1週間あたり+1時間。そう考えると「大したことはない?」と思ってしまいますが、現状の1週間あたりの総授業時間である28時間に+1時間すると4年生以上で29時間相当となり、2008年に文科省・中央教育審議会が発表した「児童の発達段階を考慮した1週間の総授業時間数=最大28時間」を超えてしまいます。

 課題になるのは児童の発達面だけではありません。現状、児童の補習や主体的な学習活動、校内会議や教員の研修等に充てられている時間は維持できなくなってしまいます。

 

 では、どうするのか。

 検討会議が公表した報告書では、土曜日の活用や長期休業期間を減らして年間の授業日数を増やして授業を行うプラン、あるいは、年間の授業日数を増やすのが難しい場合は15分×3などの短時間(モジュール)学習や60分授業を設定するプラン、そして、それらを組み合わせて編成をするプラン等が選択肢として挙げられています。しかし、どのプランを選択したとしても、子どもたちも、先生も、現状よりも忙しくなることは間違いありません。

 

教員の働き方改革の議論に逆行する授業時間増 

 昨年(2017年)の後半あたりから、名古屋大学の内田良准教授を中心に「教員の長時間労働の解消」に関する議論が盛んです。

 中学・高校の部活動問題とともに語られることの多いこの問題ですが、小学校の教員の多忙さも負けてはいません。2015年に実施された全国の小中高の先生を対象とした無作為抽出調査では、「小学校教員は94.5%と、ほぼ全員が授業準備時間の不足を感じている」という驚きの結果が報告されました。

 より良い授業を実現するために十分な準備をすることは、教員にとって最も大切な仕事のひとつです。それすらもままならないほど多忙を極めるのが現状の先生たちの労働環境なのです。ここにさらに年間35時間(週あたり+1時間)の授業時間を上乗せしようというのが今回の改革です。

 話は労働時間の長さだけに留まりません。これだけ多忙な労働環境にあっても、教員の定数は年々減っています。そうです、少子化です。

 さらには、新学習指導要領では、カリキュラム・マネジメントの導入によって大きな質的変化を求められます。これまでのように、決められた内容を教授するのではなく、児童ひとりひとりの興味・関心を生かし、自主的な学習が促されるよう、地域の実態等もふまえ教育カリキュラムを柔軟に編成していかなければならないのです。

 現状でも授業準備時間が足りないのに、そのときどきの状況に応じて柔軟に授業を変えていく。はたして、そのようなことが可能なのでしょうか?

 

中学受験生の余暇時間や睡眠時間を直撃か

 子どもたちにとっても、週あたり+1時間は決して小さな数字ではありません。とりわけ影響を受けるのは、中学受験を控えた児童たちでしょう。

 現在の中学受験の王道は徹底した復習主義。毎年加わる新たな傾向の問題を取り入れて、求められるスピードと演習量は増加の一途をたどっていると言われています。高学年ともなると通塾日数は週3~4日。当然、塾のない日は必死に宿題をこなしていることでしょう。個別指導や家庭教師をつけているご家庭も決して少なくない世界だとも耳にします。

 平日のどこかで1時間、授業数が増えるにしろ、土曜や長期休業期間が数日削られるにしろ、すき間時間に短時間(モジュール)学習を詰め込まれるにしろ、彼らにとっての負担感は想像以上に大きいのではないかと懸念します。

 塾の学習の負担が一気に大きくなるのが小6カリキュラムに上がる段階だと言われています。それと同じタイミングで新学習指導要領の全面実施が直撃するのは現小3学年の子どもたち。彼らが一番苦しい状況になるのではないかと予想しています(彼らが小6となる2020年は東京オリンピックの年でもあります。東京の小学校の現場はいったいどうなっているのでしょう…)

 

 

まとめ

 以上、新学習指導要領への移行にともなう授業時間増を切り口に、近未来の小学校の教員・子どもたちの状況を想像してみました。言うまでもなく、上記の予想は今入手できる情報をもとにしたイチ主夫の単なる妄想です。すべてが杞憂に終わって、新しい学習指導要領の掲げる「生きる力」が力強く育まれるような未来が訪れることを願ってやみません。

 

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