教育改革2020

どうする・どうなる!?2020年。保護者視点で分析する教育改革。調べてわかったことを中心にまとめています。

《英語改革基礎知識④》目標とされる英語力は?

★これまでの流れ(こちらを先に読んでいただいたほうが流れがつかみやすいと思います)

 

  「日本の高校3年生で英検準2級レベル以上の英語力がある生徒の割合はだいたい何%でしょう?」と聞かれてパッと答えられる人はどれくらいいるでしょう。英検準2級というと、日本英語検定協会の推奨目安としては【高校中級程度】です。

 

 

 

 

答えを探るため、前回の記事で使った図をもう一度見てみます。

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 おわかりになりましたでしょうか。正解はグラフの赤と緑をあわせた部分。4技能でバラつきはありますが、乱暴に丸めた表現をすると「ざっくり30%未満」です。これが現状の日本の高校生の英語レベルです。

 

▪ 目次

 

現行の学習指導要領で求められている英語力はどの程度?

 では、現行の学習指導要領で達成されるべきとされている英語力の目標は、今現在どのように設定されているのでしょうか。

 平成25年度~平成29年度は第2期教育振興基本計画の期間にあたります。平成25年6月に閣議決定されたその計画内容を見てみますと、英語力の成果指標として【高等学校卒業段階で英検準2級程度~2級程度以上を達成した生徒の割合50%】となっています。現状、上の図の通り、英検準2級程度~2級程度以上を達成している生徒の割合はざっくり30%未満でしたので、はかばかしいとは言えません。

 

新学習指導要領になってどう変わるの?

 それでは、これが新学習指導要領になるとどう変わるのか。

 平成26年9月、英語教育の在り方に関する有識者会議の報告書では、上記の目標値の実現に向けて取り組むとともに、【高校生の特性・進路等に応じて、高等学校卒業段階で、例えば英検2級から準1級、TOEFL  iBT 60点前後以上等を設定】という目標が新たに示されました。

 …目標、あがっちゃってるぅ!

 

 さらには昨年(平成29年)の9月、英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会で配布された資料には、具体的な語彙数として、【現状:高校卒業レベル 3000語程度 → 今後:高校卒業レベル 4000~5000語程度】という数値が示されています。

 

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平成29年度英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会(第1回) 資料3 学習指導要領の改訂等について より

 

 現状の語彙数の約1.5倍。今でさえ目標に対する進捗が思わしくないのに、さらに1.5倍にハードルを上げる。これが営業マンのノルマだったら泣いているところです。

 目標達成のためには、英語教育の質の改善・量の拡充にかなりの資源を投入しなければならないということは素人目にもわかります。特に外国語の習得は学習の量がモノを言う世界。量的拡充はいったいどの程度の規模を想定しているのでしょうか。

 

英語の授業時間数はどれくらい増える? 

 新学習指導要領に切り替わると、小学校では中学年以上で外国語学習の時間が年間35時間増えることは以前の記事でもご紹介しました。

 では、中学校や高校ではどの程度増えるのか。基本的には、増えません。授業の質の改善だけで獲得語彙数を1.5倍にし、アゲアゲになった到達目標の達成に向けて気合いで頑張る火の玉プランです。厳しい。

 

まとめ

 以上、新学習指導要領の実施によって、英語の到達目標が上がり、求められる語彙数も約1.5倍になること。そして、小・中・高それぞれにおいて、授業時間の量的拡充は期待できるほどのものはないことがわかりました。

 

 この方針を受けて、今後をどう占うか。

 授業数が増えずに到達目標が高くなるということは、これまでよりも授業進度が速くなり、難しさを感じる生徒が増えることが想定されます。もちろん、授業の質的な改善策はいろいろと実行されるでしょうが、質の改善にもトライ&エラーでノウハウを蓄積するだけの量(時間)は必要で、垂直的に立ち上げるのは難しいのではないかと考えます。

 また、中学・高校ともに、先生も、生徒も、すでにゆとりがないくらい忙しい生活を送っているはず。学校での対応にさらなる「面倒見の良さ」を期待するのは現実的ではありません。

 あまり煽るような結論を導くのは本意ではないのですが、学校で過ごす以外の時間で手当をしていく、というのが、当面の戦い方となりそうです。従来から力点を置かれていた「読む」「聞く」分野については、家庭(親)や教育産業に一定のノウハウがありますからまだマシで、問題は新規追加される「話す」「書く」の2分野。最近ではオンライン英会話・英語学習環境等も整備されつつありますが、まだ混沌としているというのが正直な感想です。

 教育産業へのアウトソースも含めて、学校外時間での英語学習をどのようにデザインするのか。しばらくは試行錯誤の時期となりそうです。

 

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