教育改革2020

どうする・どうなる!?2020年。保護者視点で分析する教育改革。調べてわかったことを中心にまとめています。

大学入学共通テスト(新テスト)が年複数回化?【後編】

 

 前編では、大学入学共通テスト(新テスト)が年複数回化した場合の、生徒の進路選択に与える影響について予想を立てました。

 

 今回は「高校生の生活はどのような影響を受けるのか」について考えてみたいと思います。

 

 

 

▪ 目次

 

 

すでに多忙化が想定される未来の高校生

 大学受験を控えた高校3年生ともなると、模擬試験等で週末がつぶれてしまうケースは現状でもしばしばあることでしょう。しかし、2020年以降の教育改革によって、高校生の生活はさらに忙しいものとなりそうです。

 

英語の民間資格・検定試験活用

 まずは英語の民間資格・検定試験活用です。

 2020年度に現行の大学入試センター試験から大学入学共通テスト(新テスト)に切り替わるタイミングではじまります。2020年度~2023年度の4年間は、移行期間として、センターが用意するマークシート型の試験と併存。2024年度からは民間資格・検定試験に一本化される予定です。

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  出願大学に提出できる民間資格・検定試験の結果は、高校3年時の4月~12月に受検した2回までの結果に限られています。つまり、民間資格・検定試験の対策に十分な準備期間を設けたいならば、高校3年生の4月を目途に英語のスキルを大学受験レベルまで近づけておく必要がある、ということです。現状よりも1年近くスケジュールが前倒しとなります。

 

「高校生のための学びの基礎診断」

 もうひとつ、教育改革によって新たに追加されるテストがあります。「高校生のための学びの基礎診断」です。高校教育の質の確保・向上、また、高校生の基礎学力の定着に向けたPDCAサイクル構築することを目的としたテストです。

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  2020年教育改革によって、生徒に求められる資質もアップデートされます。「学んだことをきちんと理解しているか(知識・技能)」に偏っていたこれまでの評価に対し、新しい学習指導要領では、知識や技能を習得するだけでなく、それをもとに「自分で考え、表現し、判断し、実際の社会で役立てる」力を養うことをねらいとしています。

 こうしたねらい通りの力を生徒が育めているのか、また、学校側の日々の指導も十分かどうかを多面的に評価し、指導の工夫・充実につなげていくためのツールが「高校生のための学びの基礎診断」なのです。

 テストの具体的な内容については、試行調査およびその結果をもとにした専門的な検討の段階にあり、まだ詳細は決まっていません。学校実施であることと、複数回受検であることは方針として打ち出されています。

 

 このテストの目的は、先にも述べたように、新学習指導要領に掲げた理念にもとづく高校教育の質の確保・向上と、基礎学力の定着に向けたPDCAサイクル構築にあります。出願する大学にテスト結果を提出するようなことはありません。また、評価のあり方についてもエヴァリュエーション的側面からではなく、アセスメント評価を保証していこうという方針が検討ワーキンググループで確認されています。つまり、学校の序列化や生徒の選抜には用いない、ということです。

 出願大学への提出も課されず、かつ、選抜に用いられないかたちでの評価であるならば、気にすることはないのではないか。字面通りに受け止めるならば、そう捉えることもできます。

 しかしながら、仮にアセスメント評価であったとしても、なんらかの評価フィードバックが戻ってくるものに対して、評価者である教員がそこから何も影響を受けずに成績評定をつけつけることは可能でしょうか。

 大学入試改革・高大接続改革によって、今後、一般入試選抜で受験をする生徒に対しても多面的・総合的評価を取り入れていくことが決まっています。各大学がそれぞれのアドミッション・ポリシーに鑑み、必要に応じて調査書や志望理由書、小論文、面接等を積極的に取り入れていくというものです。

 出願大学への提出材料となりうる調査書(成績評定)に対し「高校生のための学びの基礎診断」が影響を及ぼすとしたら。それはもう大学入学者選抜のための材料になる可能性があると言えるのではないでしょうか。

 

 英語の民間資格・検定試験活用と「高校生のための学びの基礎診断」の開始、それに加えて、さらに大学入学共通テスト(新テスト)が年複数回化し、実質前倒しになったとすると、高校生の生活は今以上にたいへん慌ただしいものとなるでしょう。

 

まとめ

 以上、大学入学共通テスト(新テスト)が年複数回実施となった場合の未来について、前後編2回にわけて予想を立ててみました。

 発端となった林文科相の発言を見ると「高校教育への影響を考慮し、運営の負担や技術の進展も見据えながら、24年度以降の実現可能性について検討を進めたい」とあります。まだ具体的な議論の俎上にあがったわけではありませんし、政治家お得意の国民の反応をうかがうための "観測気球" である可能性も現時点では否定できません。

 今後、中教審等の検討の場にて専門的な見地から議論が進んでいくものと思われますが、これまで見てきたように今回のプランは、運営側にとっても、高校生にとっても、これから高校生となる小中学生にとっても、たいへん影響が大きく、導入のしかたによっては多大な負担を強いるものとなります。また、生徒の環境による格差が生まれてしまう面も見逃せません。十分な議論と納得のいく落としどころを探ってほしいと願っています。

 

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